経験すると大変さが身にしみる相続“後”のコト

「死後事務委任契約」について


「おひとりさまの教科書」メニュー

▶ 経験すると大変さが身にしみる相続“後”のコト「死後事務委任契約」について



おひとりさまの終活において、遺言書とともに忘れてはならない重要な手続きがもう1つあります。それが、「死後事務委任契約」です。

 

遺言書と比べると聞きなじみがなく、なんだか難しそうに感じるかもしれませんが、読んで字のごとく、「亡くなった後の事務手続きをお願いしておく契約」です。

●死後事務委任契約とは?

冒頭でも書きましたが、現代日本において、誰かが亡くなった後の手続きというのは非常に多岐にわたります。

例えば、

 

・ご遺体の引き取り(安置)

・死亡届の提出

・火葬許可証の取得

・ご家族・ご友人への連絡

・火葬の手配

・通夜・告別式

・火葬・お骨上げ

・埋葬手続き

・役所・金融機関等関係機関への届出

・病院代、施設費等の支払い

・遺品の整理

・住まいの処分、明け渡し

・光熱費、クレジットカード等各種契約の解約

 

などが考えられます。

 

これらの手続きは、ご家族がいる場合にはご家族がされる場合がほとんどです。

では、そういったご家族やご親族がいない場合はどうするのでしょうか?

以前、おひとり暮らしの男性が、大家さんあてに「これであとをたのむ」と書いた書き置きと、30万円ほどの現金を置いて、部屋で亡くなられていたという話を聞きました。

 

おそらくこの方は、他に頼る人もなく、亡くなった後のことを大家さんに頼んだつもりだったのでしょう。

しかしながら、このような書き置きだけでは、家族でもない赤の他人である大家さんは、ほとんど何の手続きもすることはできません。

書き置きに法律上の効果はありませんし、せっかく用意していたお金も、大家さんが手を付けるわけにはいきません(相続財産という扱いになります)。

ましてや火葬やお骨の処理なども、勝手におこなうわけにもいきません。

 

困り果てた大家さんが、司法書士や弁護士のような専門家に依頼をして、亡くなった方の相続人を調べてもらい、疎遠だった兄(故人)の甥を相続人として探し出したものの、結局は相続放棄をされたため、そこから先の手続きはさらに難航したそうです。

 

これらの費用は大家さんが負担し、かつ、部屋の荷物も勝手に捨てるわけにもいかないので、部屋はそのまま、次の人に貸すこともできないといった状況でした。

 

亡くなったご本人としては、お金もいくらか残しておいたので大丈夫だろう、と考えたのかもしれません。

 

しかし、結末は上記のとおり。

大家さんにしてみれば、恨み言のひとつでも言いたくなったかもしれません…

 

 

このようなことにならないために、亡くなった後の手続きやお金の管理は、きちんと信頼できる相手にお願いしておく必要があります。

 

そして、それを正式な形にしておくのが「死後事務委任契約」なのです。

●どんなことを頼めるの?

死後事務委任契約では、基本的には亡くなった後に必要となる事務手続きのほとんどを依頼することができます。

 

具体的には、

・葬儀法要の内容

・お骨の埋葬方法

・各種役所への届出

・病院代、家賃、施設費などの未払い分の支払い

・未納税金の支払い

・遺品整理

・住居の整理、明け渡し

・光熱費、携帯電話、NHK等の契約の解約

・クレジットカード等の解約

・SNS等のアカウントの削除

・遺されたペットのお世話(しかるべき団体や施設等への引き渡し等)

など、その内容は多岐にわたります。

 

もちろん、人によっては不要なものや、これ以外に必要なものもある可能性があります。

そのため、これらの手続きをご希望される場合には、その方の希望される内容や生活のご状況、帰依する宗教などを、ゆっくり時間をかけてお伺いさせて頂きながら、内容を決めていきます。

●遺言書とは何が違うの?

遺言書も死後事務委任契約も、どちらも「亡くなった後のことを頼む」という点では似ていますが、法律的には大きく異なります。

 

「遺言書」は、亡くなった後の「財産の行き先」を決めるものです。

これに対して「死後事務委任契約」は、亡くなった後の「様々な事務手続きを依頼する」ものです。

 

一部、お金(病院代や家賃など)の支払いについては、遺言書と死後事務委任契約と、どちらでもカバーできることもありますが、基本的にはそれぞれの目的が異なっています。

 

すなわち、身近に頼るべきご家族がいないという場合には、2つをセットで準備しておく方がより好ましいと言えます。

●死後事務委任契約をお願いしたいと思ったら

当法人では、実際に死後事務委任契約のご依頼をお受けしております。

 

ご相談の際には、ご家族構成や生活状況、将来のご希望などをできる限り詳しくお伺いした上で、ご本人のご希望に沿ったご提案をさせて頂きます。

 

必要に応じて、病院や介護施設、ご葬儀会社や遺品の整理業者、納骨法要をご希望される菩提寺等も含めたお打ち合わせをさせて頂くことも可能です。

 

また、ご依頼を頂いた方とは、書面を作成して終わりではなく、その最期の時までしっかりと継続的なお付き合いをお約束致しますのでご安心ください。


「おひとりさまの教科書」メニュー

▶ 経験すると大変さが身にしみる相続“後”のコト「死後事務委任契約」について