おひサポQ&A

おひとりさまリーガルサポートならではのQ&Aをまとめました。

<後見人制度について>

Q1.後見人制度とはどのようなものですか?

A1.本人の判断能力が低下した際に、本人に代わってお金の管理や契約などを行う人(=後見人)を選ぶ制度です。

後見人制度は、大きく分けて法定後見任意後見に分けられます。

Q2.法定後見制度とはなんですか?

A2.法定後見制度は、すでに認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が低下している人のために、裁判所で後見人を選んでもらう制度です。

家族が後見人に立候補することもできますが、実際に後見人になれるかどうかは裁判所が決定します。

場合によっては、裁判所が第三者の専門家(弁護士、司法書士など)を選ぶ場合もあり、裁判所の判断に反対することはできません。

Q3.後見人はどのようなことをするのですか?

A3.後見人は本人の財産を管理したり、契約などの法律行為を本人に代わって行います。

具体的には、銀行でのお金の入出金や、不動産の売却、老人ホームへの入所手続きや費用の支払いなどを行います。

Q4.後見人には費用がかかりますか?

A4.後見人の費用(報酬)は裁判所が決定しますが、費用(報酬)を請求するかどうか自体は後見人が選択できます。

家族が後見人になった場合は、費用(報酬)はいらないとする場合もありますが、専門家が選ばれた場合には、まず間違いなく費用(報酬)が発生します。

Q5.後見人の報酬はどれぐらいですか?

A5.本人の財産の額や、行った業務により変わりますが、一般的には月額2~5万円(年間24~60万円)程度となる場合が多いです。

なお、報酬の額は裁判所が決定するため、後見人が勝手に決めるわけではありません。

Q6.任意後見制度とはなんですか?

A6.任意後見制度は、本人がまだ元気なうちに、将来の後見人をあらかじめ自分で選んで契約をしておく制度です。

そして、その後本人の判断能力が低下した段階で、事前に決めておいた方が後見人となります。

法定後見制度との大きな違いは、「後見人になる人を自分で決めておくことができる」という点です。

Q7.任意後見契約をした場合、いつから後見人がつくのですか?

A7.任意後見は、契約をしたらすぐに後見人がつくわけではありません。

本人の判断能力が低下するなど、将来後見人が必要になった段階で後見人がつくことになります。

認知症等になったときに備えて準備をしておくというイメージです。

Q8.任意後見人には費用がかかりますか?

A8.任意後見人の費用(報酬)をどうするかは、契約の際に自由に決めることができます。

家族等が後見人になる場合には、費用は0円とすることも可能です。

Q9.法定後見制度と任意後見制度はどちらを利用すればよいのですか?

A9.法定後見は、現時点ですでに判断能力が低下している人が利用する制度です。

本人の判断能力がなくなった後では、任意後見制度を利用することはできません。

元気なうちに、将来の後見人を決めておきたいという場合は、任意後見制度の利用をお勧めします。

Q10.後見人は、本人が亡くなった後の手続きもできるのですか?

A10.本人が亡くなると、後見人の業務は終了しますので、亡くなった後の各種手続きを後見人が行うことはできません。

後見人は、亡くなった時点で残っていた財産などを相続人に引き渡すこととなります。

Q11.「おひとりさま」は、将来に備えて、どのような準備が必要ですか?

A11.以下の制度を中心に、それぞれのご不安や心配事に応じたサービスをご提案させて頂きます。

 ①遺言書の作成

 ②死後事務委任契約

 ③任意後見制度

 ④見守り契約

<遺言書について>

Q12.遺言とはどのようなものですか?

A12.主に亡くなった後の「財産の行き先」を決めておくものです。

例えば、亡くなった時点で残っていた現金、預貯金や株、不動産といったものを、亡くなった後、誰に譲りたいかを決めておきます。

譲る相手は家族以外の友人、知人、お世話になった施設や団体など、自由に決めることができます。

Q13.遺言は何のために作るのですか?

A13.遺言書がない場合、亡くなった後の財産の名義変更には、法律で決められた相続人全員の合意(印鑑)が必要になります。また、相続人以外の方に財産を譲ることはできません。

そのため、下記に該当するような方は、遺言を検討した方が良いでしょう。

・お子様がいない場合

(相続人の数が増え、全員からハンコをもらうのが難しくなります)

・ご家族がいない場合

(財産の行き先を決めておかないと手続きが非常に大変になります)

・相続人全員の印鑑をもらえそうにない場合

(仲が悪い、話し合いがまとまりそうにない、行方不明、認知症 など)

・相続人以外の方に財産を譲りたい場合 など

Q14.口頭や録画などで遺言をすることはできますか?

A14.残念ながら、このような方法での遺言は認められません。

後述する方法に従って、書面で作成する必要があります。

生前に常々ご家族の前で公言していたとしても、書面がなければ遺言としては認められませんのでご注意ください。

Q15.遺言にはどのような方式がありますか?

A15.主に用いられるのは、公正証書遺言自筆証書遺言の2つの方式です。

Q16.公正証書遺言とはどのようなものですか?

A16.公正証書遺言とは、公証役場で公証人によって作成する遺言書のことです。

法律の専門家である公証人が内容をチェックするため、後日その内容についてのトラブルを防ぐことができます。

また、遺言書の原本が公証役場で保管されるため、紛失や偽装といった心配がなく、後述の「検認」手続きも不要です。

ただし、公証役場での手数料や、文案の作成を専門家に依頼する場合には費用がかかります。

Q17.自筆証書遺言とはどのようなものですか?

A17.自筆証書遺言とは、遺言する人が自ら、遺言内容の全文を手書きして作成する遺言書のことです。

ご自身での作成のため、費用がかからず、いつでも気軽に作れるというメリットがあります。

反面、内容があいまいであれば将来のトラブルになってしまったり、保管したものを紛失してしまうなどといった危険性もあります。

また、本人が亡くなった後、家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければなりません。

Q18.「自筆証書遺言の保管制度」とはどのようなものですか?

A18.2020年7月以降、ご自身が作成した自筆証書遺言について、法務局で保管してもらえる制度が始まりました。

この制度を利用すれば、遺言書を紛失する心配がなく、家庭裁判所での「検認」手続きも不要になります。

ただし、法務局では、細かい内容まで確認してくれるわけではないので注意が必要です。

Q19.遺言の内容を変えたいときはどうすればいいですか?

A19.遺言は、いつでも自由に作り直すことが可能です。

内容の異なる遺言を新しく作成した場合、新しい日付で作成したものが優先します。

なお、特に変更をしなかった部分については、従前の遺言がそのまま有効ということになります。

Q20.遺言執行者とは何ですか?

A20.遺言執行者とは、本人が亡くなった後に、遺言に書かれた内容を実現するために、財産の引渡しや名義書換などの具体的な手続きをする人のことをいいます。

財産を譲る相手が高齢であったり、こういった手続きに慣れていなかったりすると、相続手続きは何かと大変です。

専門家等を遺言執行者に決めておくことで、手続きをスムーズに行うことが可能です。

Q21.どのような人が遺言を作っておいた方がいいですか?

A21.基本的に、遺言は、なくて困ることはあってもあって困ることはありません。

そのため、できることならすべての人に1度はご検討頂きたいと思います。

我々は、遺言という制度をもっと身近に考えて頂くための活動も行っています。

※中でも特に必要と思われるケースについては「遺言はなんのために作るのですか?」をご参照ください。

Q22.遺言を作りたいのですが、どうすればいいですか?

A22.当法人では、各種遺言書の作成サポートを行っています。

法律面、税務面から、問題のない遺言書が作成できるようお手伝いさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。

<死後事務委任契約について>

Q23.死後事務委任契約とはなんですか?

A23.亡くなった後に発生する手続き(ご葬儀や火葬の段取り、納骨、遺品整理、役所への届け出、各種契約の解約、必要なお金の支払いなど)を、事前に信頼できる人にお願いしておく契約です。

Q24.死後事務とはどのようなことですか?

A24.例えば次のような手続きが考えられます。

 ・親族等関係者への死亡の通知

 ・役所への届出(死亡届、戸籍、年金の資格抹消等)

 ・葬儀に関する手続き

 ・遺骨の埋葬に関する手続き

 ・生活用品・家財道具などの遺品整理・処分

 ・賃貸住居などの退去・明け渡しや敷金などの精算

 ・各種サービスの解約・精算手続き(生前の入院費などの未払い債務の精算など)

 ・運転免許証、健康保険証等の返納手続き

 ・ペットの引き渡し など

これらの多くは、ご家族がいる方であればご家族が行う手続きです。

しかし、ご家族がいない場合や、いても疎遠だという場合は、誰かにきちんとお願いしておかなければ、他人が勝手に行うことができず、手続きが大変になります。

Q25.遺言とは何が違うのですか?

A25.遺言書は「財産の行き先」を決めるためのものです。

これに対し、死後事務委任契約は、それ以外に必要となる事務手続きを依頼しておくものです。

なお、これらの事務手続について遺言書に書いてお願いしていたとしても、法律的な効力はありませんので注意が必要です。

Q26.死後事務委任契約はどのような人に適した制度ですか?

A26.身寄りのない方や親族と疎遠な方、親族が遠方に居住されている方などは、万が一に備えて利用しておいた方が良い制度です。

それ以外でも、内縁関係の相手方など、法律上の家族ではない方に死後の手続きをお願いしたい方などはご検討頂きたいと思います。

Q27.死後事務委任契約はいつおこなう必要がありますか?

A27.契約ですので、本人がお元気なうちにおこなう必要ががあります。

また、お願いする相手方の同意も必要になりますので、書面で契約書を作成する必要があります。

可能であれば、しっかりと内容を証明するためにも、公正証書で作成した方が良いでしょう。

Q28.死後事務委任契約をお願いしたいのですが、どうすればいいですか?

A28.当法人では、死後事務委任契約の作成および受任をお受けしています。

ご希望の内容等について、時間をかけてじっくりとお伺いさせて頂きますので、安心してご相談ください。

また、契約書作成後も、定期的に生活状況のご確認やご自宅の訪問など、最期まで長期的なお付き合いをさせて頂きます。

<家族信託について>

Q29.家族信託とはどんな制度ですか?

A29.家族信託とは、認知症など、ご自身での財産管理が難しくなった時に備えて、あらかじめ信頼できる家族に財産を「預けておく」ことで、管理・処分を任せる制度のことです。

「家族」を「信」じて「託」す、これが家族信託です。

Q30.「家族信託」は資産運用ですか?

A30.家族信託は、いわゆる「投資信託」などの資産運用とは全く違います。

また、一部の金融機関が提供している、「遺言信託」とも全く異なる制度です。

Q31.家族信託は何のためにするのですか?

A31.認知症や事故、病気などで意思疎通ができなくなると、財産の管理・処分(預金の引き出し、お金の振り込み、不動産の売却など)はできなくなります。

なんとかするには、後見人をつけなければなりません(法定後見)。

しかし、後見人は、家族がなれるとは限らない、つけると一生費用がかかるなど、負担も大きい制度です。

これに対し、事前に家族信託で信頼できる家族に財産を「預けて」おけば、後見人をつけることなく、預かっている家族が代わりに財産の管理・処分をすることができます。

Q32.後見人をつけることとどう違うのですか?

A32.認知症になってから後見人をつける場合、家族が希望しても、必ず後見人になれるとは限りません。

また、家族以外が後見人になってしまうと、一生費用がかかるという可能性もあります。

事前に家族信託をしておくことで、「後見人をつけることなく」財産の管理・処分ができるメリットがあります。

また、財産を預ける相手方は自由に決めておけますから、後見人のように、第三者が介入してくることがなく、家族内で完結することができます。

Q33.家族信託をするにはどうすればいいのですか?

A33.財産を預ける相手方と、「信託契約」を結ぶことになります。

信託契約の内容は細かく、多岐にわたるため、契約書の作成は専門家に依頼する方が安心です。

不動産を信託する場合には、この契約書に従って信託の登記手続きも行います。

当法人では、家族信託の専門家が、制度の説明や契約書の作成をサポートさせて頂きます。

お気軽にご相談ください。

Q34.どんな財産が信託できますか?

A34.一般的に多いのは「預貯金」「不動産」「非上場株式(親族会社の株)」などです。

ご本人が認知症などになってしまって、「(お金が)おろせない、振り込めない」「(不動産が)売れない」といった事態にならないよう、事前に信頼できる家族に「預けておく」制度です。

Q35.預ける相手は家族でなければダメですか?

A35.家族信託という名称ですが、相手方は家族以外でも大丈夫です。

ただし、特定の個人や団体が、複数人から信託を受ける(=財産を預かる)ことは法律上できません。

また、大事な財産を預けるわけですから、家族と同程度に、信頼できる相手であることは必要です。

Q36.遺言があれば家族信託は不要ですか?

A36.遺言が効力を発生するのは、ご本人が「亡くなってから」からです。

生前に認知症等になってしまうと、財産の管理・処分はできません。

この「生きてはいるけど認知症」という事態への対策の1つが家族信託です。

そのため、遺言を家族信託はそれぞれ活躍するステージが違うため、2つを上手く組み合わせることが重要です。

 

※家族信託についてより詳しく知りたい方は「家族信託とは?」をご覧ください。