終活の出発点はここから!「遺言書」について

いわゆる「終活」のメインは遺言書の作成だと言われています。

 

「亡くなった後に、残された家族や周りの方が困らないように、遺言書を作成しておきましょう」といったようなフレーズを、1度はお聞きになったことがあるのではないでしょうか?

 

ここでは、遺言書の目的とその効果について、わかりやすく解説します。

●遺言書の「目的」

 

そもそも、遺言書は何のために作るのでしょうか?

 

一言でいうと、「残った財産の行き先を決める」ためです。

厳密には、遺言書でできることというのは他にもいくつかあるのですが、99%以上の目的はコレです。

 

亡くなった時点で、キレイサッパリ1円も残さず使い切って亡くなる、という方はまずいません。

 

現金、預金、家、車、株など、何かしらのものが、いくらかは残ってしまうのが普通です。

これらの残ったお金などについては、家族(相続人)がいる場合には、それらの方が手続きをすることで、名義を変えたり受け取ったりすることになります。

 

しかし、家族がいない場合や、付き合いが疎遠で、亡くなったことを知らないような場合は、当然手続きをすることができません。かといって、他人が勝手にこれらに手を付けることもできません。

 

そのため、残った財産はいつまでも放置されることになります。

 

家は傷んでボロボロになり、車は動かせないまま放置され、預金は最終的には銀行か国のものになってしまいます。

 

そうならないために、遺言書で、きちんと財産の行き先を決めておくことが重要です。

 

お世話になった人に受け取ってもらうでもよし、どこかに寄付をするというのでも構いません。

「何も決めないまま亡くなる」というのだけは避けてください。

 

●遺言書はどうやって作る?

では、遺言書はどうやって作ればいいのでしょう?

 

いろんなところで言われているのでご存じの方も多いかと思いますが、遺言書には大きく分けて2通りの作成方法があります。

公正証書遺言

自筆証書遺言

です。

厳密には他にもあることはあるのですが、非常に特殊な方法になりますので、ひとまずこちらの2つを覚えてください。

 

いずれにも共通する大きなポイント、それは、「必ず書面で作る」ということです。

 

よく、

「生前に父は常々こう言っていた」

「おばあちゃんは親戚の集まりのたびにこう言っていた」

といった話を聞きますが、口頭での発言には法律上の効力はありません

また、同様に、話しているところを録画で残す、という方法でもダメです。

 

公証役場というところで公証人に作成してもらう「公正証書」、もしくは、ご自身で作成する「自筆証書」、このどちらかで残しておく必要があります。

 

それぞれの方法についての、おおまかなメリット・デメリットは以下のとおりです。

<公正証書>

〇メリット

・内容が確実

公証人という法律のプロが確認します。

あいまいな内容や、不備がある場合は事前に確認してもらえるため、後日のトラブルになる可能性は低いといえます。

 

・紛失や破棄、変造される危険性がない

原本が公証役場で保管されるため、作成後に紛失したり、書き換えられる心配がありません。

また、ご本人が亡くなった後は、相続人が公証役場に遺言書の有無を確認することができます。

 

・信頼性が高いため、将来の手続きが簡単

裁判所での検認といった、事後の手続きが不要のため、亡くなった後の相続人の方の負担が少なくてすみます。

 

●デメリット

・費用がかかる

公証人への手数料や、文案の作成を専門家に依頼する場合の費用がかかります。

財産の額、相続人の数等によっても変わってきますが、概ね10万円~程度の費用がかかります。

 

・時間がかかる

いきなり公証役場に行って、「遺言が作りたい」と言っても、急には対応してもらえません。

文案の作成、必要書類の準備、公証役場との打ち合わせなどが必要になりますので、思い立ってすぐに作るというわけにはいきません。

<自筆証書>

〇メリット

・費用がかからない

公証人に支払う手数料がかかりませんし、専門家による文案作成も不要であれば、その分の費用もかかりません。

極端な話、紙とペンさえあれば作ることはできます。

 

・時間がかからない

打ち合わせや書類の準備がいらないため、思い立ったらすぐ作ることも可能です。

 

●デメリット

・将来の様々なリスク

作成はしたものの、その内容に不備や間違いがあった場合、遺言書自体の効力が認められないという危険があります。

また、亡くなった後に誰にも発見されないままだったり、見つけた人がこっそり捨ててしまうという危険性もゼロではありません。

 

・将来の手続きがやや複雑

亡くなった後、裁判所で検認という手続きを受けなければならないため、相続人の手間や負担は大きくなります。

※2020年から開始された、法務局での自筆証書の保管制度を利用する場合は、将来の検認手続きを省略することが可能です。

●遺言書を作りたいと思ったら

公正証書による場合でも、自筆証書による場合であっても、可能であれば1度は我々のような専門家にご相談ください。

 

内容や保管方法についてのアドバイスや文案作成、公正証書の場合は公証役場との打ち合わせや当日の役場までの同行など、できる限りのお手伝いをさせて頂きます。